経年で建替えを迎えたマンションにおいて、きちんと理解する必要があるのが費用と行程について説明します。予算発生のタイミング、さまざまな工程など、多くのポイントがあります。押さえるべきポイントは、それほど多くありません。要点さえ理解してしまえば、すごく簡単です。ぜひ、この機会にマンション建替えの知識を深めてください。
⼀⼾建ての建替えの場合、費用はすべて自己資金でやりくりする必要があります。
左の図のように、増やした部分をデベロッパーに売ることで発生する利益を、建築の費用にあてることができます。
※増えた部分を保留床といいます。
建物の建替えは共通して資産価値が上昇します。ただし、マンションの建替えについては下記のように、一戸建ての建替えよりも多くのメリットが存在します。
新しく建てられたマンションは権利床と保留床で構成されます。
建替組合は、デベロッパーに保留床を売却したお金を建築資金に利用できます。権利床は建替組合の住民が建て替え後に得られる敷地となります。
建築の着工前には、調査やコンサルティングなどの費用がかかります。その費用は、デベロッパーかデベロッパーが紹介する金融機関から調達できます。
マンション建替えの費⽤は下記の2つがあります。
個人負担のとなる「新居取得のための負担金」は特別な規定があるわけではありません。新マンション内の取得する場所、住居の広さにより変わります。デベロッパー、コンサルタントと密に相談して決めていきましょう。
建替組合と個人の負担金を整理すると下記のようになります。建替えの内容によって工程や項目は変更される場合があります。
組合負担となる事業コストは、以下のステップのなかでそれぞれ確定していきます。
個⼈の負担⾦は「④権利変換計画認可」の段階で決まります。新マンション完成までに、景気動向、原材料の価格変動など、いろんな要因によっては負担金は変動する可能性があります。
マンションの建替えにおける最⼤のメリットは、資産価値の向上です。建物全体の資産価値の向上は、全住民にとってのプラス要素となります。資産価値の向上は住⺠の合意形成において、最も推進⼒となる目標となります。
還元率は、現在のマンションでの所有床面積と新マンショ ンで取得できる床面積の割合です。そこから計算される数字が還元率となります。
還元率が大きいということは、現在のマンションの床面積と新マンションの床面積の差が少ない、現在のマンションの床面積に近い広さが確保できるということです。
上記計算式のように現在のマンションの面積が100平方メートル、新しいマンションの面積が80㎡の場合、還元率は80㎡÷100㎡=80パーセントということになります。
建物全体から平均還元率を算出してみます。平均還元率は、建替えの状況や条件によって変化します。組合員の現状により還元率に多少のバラつきでる場合があります。平均還元率のとおりに床面積が取得できるわけではありません。
現状のマンションの総床面積を4000㎡
新しいマンションの取得床面積を3200㎡
新しいマンションの総床面積を8000㎡
新しいマンションの総価格を40億円
新しいマンションの総事業費を24億円
上記前提で仮に計算してみます。
新しいマンションの価値は1㎡=50万円(40億円÷8000㎡)。
新しいマンションの総事業費の24億円をまかなうために4800㎡をデベロッパーに売却をします(50万×4800㎡=24億円)。
建替組合が取得する床面積は3200㎡(8000㎡-4800㎡)となります。
平均の還元率は3200㎡÷4000㎡=80パーセントとなります。
簡単に説明しましたが、完成した新しいマンションの1㎡の価値、建替事業費が変動することによって還元率は変化します。
例)事業費が26億円になった場合
デベロッパーに売却する床面積が5200㎡になります。
➜新しい取得床面積は2800㎡(8000㎡-5200㎡)
例)新しいマンションの1㎡の価値が60万円になった場合
デベロッパーに売却する床面積が4000㎡になります。
➜新しい取得床面積は4000㎡(8000㎡-4000㎡)
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